特別企画ポスター

この度、美箔ワタナベを象徴するポスターを
アートディレクター・デザイナーの髙谷廉さんと製作しました。
弊社のアイデンティティでもある格子柄をグリッドベースに
理念から抽出した3つのキーワード、“精緻(MINUTE)”、“丁寧(POLITE)”
そして、“職人(CRAFTMEN)”の頭文字を使用してパターンを生成。
スクリーン印刷と今までにない大きな版を使った箔押しによって表現されたポスター。
その制作経緯と過程を話していただきました。

これまでの
関わりについて。

梅津
よく考えると髙谷さんとの付き合い、もうだいぶ長いんじゃないんですか?
髙谷
言われてみればそうですね、もう10年くらいでしょうか。
僕の中で美箔ワタナベさんは『知識と熱意があって、
工夫する方たち』だと思っています。
他の加工業者に断られた内容でも、「こうやったらできるんじゃない?」とか、
「とりあえず、やってみよう」っていつも挑戦してくれて、
しかも必ず具現化してくれる。
だから一緒にやってて面白い。という印象があります。
渡邉
なんか改めて言われると恥ずかしいけど、今まで培ってきた箔押しの知識を
いかに工夫して、新しい形にするか。今までの技術をただ続けていくんじゃなくて、
さらに高みへ「質に対する努力、応える力」は日々意識してるかな。
その成果として、美箔ワタナべから生まれた技術が市場に定着したり、
美箔ワタナベでしかできない技術もあるしね。
髙谷
箔押し技術もそうだけど、加工する立場からデザインに対して
意見をいただけるのもありがたいです。
少し箔押しの使い方を変えるだけで、
「こんなに印象違うんだ!」って思うこと沢山あります。
梅津
箔押し加工しながら、もっとこうした方がいいのにと感じるときはありますよね~。
あくまでもデザイナーさんの視点じゃなくて、
実際の加工をする視点と今までの経験から、
「この作品ならここを箔押しにした方が目を引くだろうなぁ」
「ここをデボス加工にした方が」とかね。
髙谷
ポスターなどは特にメタリックが動きを与えるということを若いころ学びました。
例えば、駅に貼ってあるポスターに箔押し加工が施してあり、
その前を歩いたり立ち止まったりするとその部分に風景が写り込むので
動いているような錯覚をおぼえます。
ポスターなどはコンマ数秒しか見てもらえないメディアですが、
箔を使うことで滞留時間が長くなり、記憶に残りやすくするという効果があります。
梅津
試作とか加工現場では、だいたい寝かせた状態でチェックしてますから、
確かに他の加工には無い効果ですね。
よく営業トークの中で1+1は2ではなく、
それ以上の効果がありますっていうのですが、そういうことですかね。
籠田
ポスターとかはシンプルに箔押しの良さはわかりやすいと思うね。
でもそれを最大限に生かすのはやはりデザインなんだなぁと日頃から感じる。
いいデザインを目の前にすると、提案を多めにしてしまうところはあるよね。
髙谷
それで美箔ワタナベさんにお願いするところは多大にありますね。
渡邉
だから、加工を任された側の僕たちはよりクオリティを上げる努力をすべきだし、
広い視野で提案出来ることを考えていかなくちゃいけないな。梅、わかってるな ! (笑)

ポスターの
制作経緯と過程。

髙谷
グラフィック社刊行の「デザインのひきだし27」に綴じ込まれた作品が
製本ミスによって、折角の美箔さんの技術がうまく表現されなかった。
今回のポスター企画は、“美箔ワタナベにしかできないこと”を
丁寧に表現するテーマで制作を実施しました。
会社理念から最も大切な3つのキーワードを抽出し、
以前、僕がデザインした美箔さんの会社案内や
名刺ケースの格子柄(下記画像)をグリッドとして、
今回のパターンを生成してます。
籠田
今回の箔押し加工は、難しいデザインだったね~。
紙の箔押ししたときの紙の伸縮率を計算し、版材も調整して作って、
実際に押すときデザイン線からずれのないように…って感じで苦労したね。
でも実際に完成すると、すごくインパクトがあった。
髙谷
今回のポスター企画もそうですけど、
籠田さんに「こんなデザインで加工したい」って相談すると、
すぐに「こうやったらできるんじゃない?」って提案してくれるんですよね。
どうんなふうにシミュレーションされているんですか?
籠田
ん~、今までの経験からどの技術を組み合わせて、どうやったら実現できるか、
加工アイデアや工程を頭の中で組み立ててご提案する感じかな。

今後について。

渡邉
今まで培ってきた加工に関する知識をもとに、さらに工夫し探求して、
どんどん新しいことに挑戦していきたいかな。
こういう業界だからか、どんどん同業者も減っているし、
箔押し技術を未来に…じゃないけど、
廃ることのないように箔押しを継承していきたいなぁ。
梅津
そうですね、今まではデザイナーと直接やりとりできなくって、
歯がゆい思いもしたけど、今は直接取引きできてるし、
髙谷さんとも今日は色んな話ができて面白かったですね !
こんな機会じゃないと聞けない話が沢山あるし。
またこういう座談会企画やりたいですね !
髙谷
いいですね~今回を第1回としてまたやりましょう !

* CRAFTMENという言葉について

本来は“CRAFTSMEN”というスペルが正しいのですが、
Craft=1つの仕事、1つの工芸品。
Crafts=(1つ以上)複数の仕事、(1つ以上)複数の工芸品。
つまり、職人達という単語をばらすとCrafts+menなのですが、
“1点ずつを丁寧に仕上げていく仕事人たち”という意味おいて
Craft+men=CRAFTMENという言葉を作りました。

用 紙:
ミラーコート|プラチナ
135kg
印 刷:
シルクスクリーン 2C
特青、特赤
加 工:
箔押しツヤ金
サイズ:
H1,030mm*W728mm
用 紙:
NTラシャ|無垢
130kg
印 刷:
シルクスクリーン 2C
特蛍光黄、特黒
加 工:
箔押しツヤ銀
サイズ:
H1,030mm*W728mm
用 紙:
NTラシャ|グレー20
130kg
印 刷:
シルクスクリーン3C
特蛍光桃、特緑、特黒
加 工:
箔押しツヤ金
サイズ:
H1,030mm*W728mm
髙谷 廉

デザイナー・アートディレクター

髙谷 廉

仙台生まれ。東北芸術工科大学彫刻科卒業。good design companyを経て、AD&D設立。
V.I.などを中心に、さまざまな分野でアートディレクションを手掛ける。
主な仕事に、東急文化村25周年のV.I.や
FLOWER LUSH IN ROPPONGI HILLSのキャンペーンなど。
主な受賞に、CANNES LIONS、ONESHOW、D&AD、N.Y.ADC、N.Y.TDC、
Hiiibrand Typography、The Brno Biennial’12 Visitors’Award、JAGDA新人賞、
日本タイポグラフィ年鑑ベストワーク及びグランプリ、仙台七夕金賞、GOLDEN BEE 11 Award他。

www.ad-and-d.jp